Bamboo Book 第9號「め〜わくのまき」制作楽屋裏
PART 1 「ねこめ…☆」顛末記
綿密に計画を立てました。
1997年春
でも、全然実行できない。多忙なため時間が取れず、皆、原稿を構想する段階で行き詰まっている。ITFCホームページには、次のような台詞が登場した。
「Sorry! ごめんなさい。夏コミには間に合いそうにないの……。 」
すっかりキャッタギリストと化した会長の仕業であった……うぉううぉう。
1997年夏(コミケット52の二日前)
会長、この期に及んで小冊子を出そうと思い立つ。PC上で版下を作成し、プリンタでプリントアウトし、ステープラーで製本しようと言うのである。昼過ぎに用紙の買い出しに出かける。夕方(たつ)に電話をかけ、「ゲンコー、書かない?」 一方、ぬんなん氏はこの日一日、小冊子の表紙の制作を行う。イラストはコミケット52向けのサークルカットの使い回し。同時に、タイトルも決まる。「ねこめ…☆」 本当は「ねこめ本」としたいところだが、ITFCでは、これから作ろうとしているレベルのものは本とは言えない気持ちがタイトルとして現れた。 でき上がりは、右の図の通りである。 |
コミケット52の前日
怒濤の原稿執筆。と言いたいところだが、実はカットの取り込みに苦労する。中島先生のカット、あおいちゃんの服のグラデトーンの空間周波数とサンプリング周波数との関係で、画像に干渉縞が生じてしまうのである。600dpiモノクロでダメ。ならばと300dpiグレースケールで試すがダメ。これでどうだの600dpiグレースケールでもダメ。そこでノイズを加えてみる。干渉縞は消えたが、当然、画像のザラつきが目に付くようになってしまい、ダメ。
結局、画像処理でトーンをはがしてグラデーションペイントを行うことにする。画像処理とは言っても、細かな部分はドッターの世界である。ここにかなりの時間が取られた。苦労の甲斐有って、服の部分はきれいに仕上がった。
カットのテストプリントをしている最中にプリンタが不吉なメッセージを表示した。「トナーガノコリスクナクナリマシタ」 青くなる。仕様上はあと1000枚程プリントできるはずだが、念のため、プリンタの製造技術を担当した某氏に確認をする。トナーが切れても、カートリッジを揺すってやれば、あと200枚は間に合わせることができるとの情報が得られる。枚数的には十中八九大丈夫だが、それでも賭である。
話が前後するが、(たつ)が細君を伴って書きかけの原稿を持参したのが20時。細君の方は、完成したイラストを携えている。(たつ)の細君とは、(文)こと文絵さんのことである。
24時近くまで作業をして、メインの部分は完成。(たつ)たちは後はよろしくーと帰宅する。ちなみに、最寄り駅までの終電は終わり、隣駅までの終電での帰宅となったようだ。
もくじ、奥付、裏表紙を作って、原稿は完成。残る作業は、LP-8200を使ってのプリントアウト、紙折り、それに星形パンチでの表紙の穴あけである。
プリントアウトは、LP-8000Sを使って"The Sleeping Times 1995 Winter"を制作した時と比較するとはるかに楽であった。プリンタ自体の紙詰まりが少なくなったのと、用紙を普通のPPC用紙並みの薄さのものにしたのとで、紙詰まりがほとんど発生しなかったということと、プリント速度が上がったという二点によるものと思われる。
紙折りはカミさんにほとんどやってもらった。
苦労したのは、星形パンチでの穴あけである。テコなしで直接手でパンチを押さなければならないので、手に猛烈な負担がかかる。たまらず即席の治具を作って作業を継続した。
この時点で未明3時30分。製本まではやっていられないので、準備をして床に就く。それが未明4時過ぎ。それまでに準備できたのは、100部であった。
コミケット52の当日
5時30分起床。今にも意識を失いそうなほど眠い。関西からコミケのために出張ってきて、我が家で一泊した友人が運転する車に相乗りさせてもらう。車中少しでも寝られるかと思ったが、甘かった。週末の深夜ほどではないのだろうが、早朝の首都高はシロウトには恐い。それでも所々記憶がなかったりする。会場に着く。7時。
サークルスペースに到着。(WA)が既に着いていた。程なく(重)も到着。異様に顔色が悪い。なんだかよく分からないが、ダイエット薬と労組のプレッシャーのせいではないかという。そんなことにかまわず、ひとりで途中のコンビニで買った弁当を食べ、朝食とする。
製本準備。折ったプリントアウトページ順に重ねる。ちょうどそれが終わるか終わらないかの頃、事前に約束していた8時を20分以上過ぎてから、(たつ)夫妻が到着。パンチを使ったせいで右手が調子悪いので、製本作業は(文)がやってくれることとなった。ステープラーには10号針とフラットクリンチを使う。針はステンレス製のものよりも、アルミの方がきちんと留まった。
完成。サークルスペースの準備を始める。10時からコミケット52が始まる……。
コミケット後日談
ITFCはいつも土壇場にならないと作業しないという、カミさん連からのコメントが聞こえてきた。
こんな生活をしたら、普通、同人誌よりも家庭を顧みなさいという小言を頂戴するものだと思うのだが。
これってサークル内結婚のメリットだろうか!?
後後日談
このページを読んだ前田夫妻から、それぞれ何日かの間を置いて、感想(?)メールが届きました。詳細は後日。